異形体レベル4(仮称)、沈黙。
精鋭・リリー分隊によって内部から倒された亡骸に、人工太陽の光が降り注いでいた。
『これより部隊を再編成し『仮称レベル4』の調査と負傷者の収容を行う。繰り返す、これより……』
『動ける者は直ちに異形体の肉片を回収せよ!鮮度を最優先!』
『G.A.R.D.E.Nの蝿どもがこれ以上来る前に少しでも多く持ち去れ!』
これまでサンプルの回収どころか実在すら疑われていたレベル4の異形体。
災害同然の怪物を討ち取るまでは連携していた各都市が、人智を越えた巨体から少しでも多くの「戦果」を毟り取るべく再び競争を始めようとしていた。
その頃──。
「どの辺の壁が薄そうかな。」
「琉日さんのワープで脱出できるなら楽なんですけど。」
「壁の向こうが空ならね。」
「それ怖いな〜…」
レベル4を仕留めた功労者達はまだレースフラッグに気付いていなかった。