「感じるぞヨレン。お前も同じだと。今までいくつ『果実』を喰らった? 味覚ももうほとんど無いだろう。」
「ユレムお兄ちゃん…。」
「『果実』は、周囲で最も強い生命に喰われ、その息吹と同調しながらより濃厚なミュートロンの源泉となる。」
「知ってるよ、そんなこと…!」
「では果実を宿したままその息吹が止まったら…?」
「知ってるよ…!!それも…!!」
「お前にも、俺にも、鼓動を止めたこの『果実』が美味そうに見えているだろう?」
「………。」
「その血走った眼。湧き上がる飢餓感。…俺たちが呪われている証だ。」
「呪われ……?」
「全ての始まりは晴天戦争最後の日。リリア・ミレティクスが邪神を倒し、邪神の亡骸から噴き出た大量のミュートロンを浴びて『果実』を宿した。」
「!!」
「彼女は強靭だった。ミュートロンに適応して無双の境地に至ったのみならず、『果実』を宿しながらもその鼓動の一切を外部へ溢れさせることなく生涯を終えた。」
「……それが、レイズお婆ちゃんの手記に書いてあったこと?」
「そうだ。だが続きがある。」