「お前もなんだかんだ嬉しそうだな。」
「お前の破天荒に思うところはあるが……師匠に巡り会えず街へ帰っていく子供がどうなるか、あまりいい話は聞かない。それよりは遥かにマシだ。」
「マシってなんだマシって。……で、あんたの弟子は?」
「イユ家のご令嬢だ。縁があり任された。」
「名門の子じゃないか。よかったな。」
「いいや、教えることは多そうだ。」
「へえ、さてはお嬢様タイプだな?」
「まあそんなところだ。」
「トレイニー・リリア。」
「とれいにー…?」
「訓練中の騎士のことをトレイニーと呼ぶ。私も今日からトレイニーを鍛えるが、その子は君と同期の関係になる。よくしてやってくれ。……そして、私はクルセイダー・ダグナ・バルトガング。これから我々は同胞というわけだ。よろしく頼む。」
「は、はいっ、よろしくお願いします!」
「んじゃ、記名行ってくる。」
「式典に遅れるなよ。」
「分かってるって。」
「で、実際どう思うよ。私の弟子のこと。」
「今更お前が何をしようと驚かない。あのリリアという少女は名門の子よりもお前に合っているだろう。」
「それ褒めてんのか?」
「良い意味でだ。だが、姓まで与えるとは思わなかったというのが正直なところだ。」
「ミレティクス家の当主は私だ。私しかいないからな。それをどうしたって勝手だろ。」