ディオン島、郊外。
大小様々な工場を繋ぐようにパイプや配線が敷かれ、まるで迷路のような様相を呈する工業地帯。
自動化が進み、人の往来は全くと言っていいほど無い。
「まずいぞ。あっちはサーチライトであっちは無人機と来た。」
「焦らずいこう。陽織ちゃんはこっちが確保してるんだ。そのうちチャンスが来る。」
その一角の物陰にリリー分隊は潜んでいた。
照白宮陽織を確保し後は脱出するだけというところまで来たが、逃さまいと言わんばかりに大量の無人機が放たれ、行く手を阻んでいた。
「ここは死角になっている。一旦休憩だ。」
「了解〜」「了解です。」「りょーかいっ」
策を練るためにも、結は様子見を選択した。
何か状況に変化があれば取れる手段が増えるかもしれないし、何も変わらなければ強行突破も視野に入れなければならない。
ただ、自分達は今見つかりにくい場所にいて、なおかつまだ見つかっていないのは確かである。
「ふー、やっとご飯だな。」
「あれだけ動き回った後ですからね。携行食でも十分なお楽しみです。」