ここは常に雨が降る国。名はイルフィア。

常に外敵を攻撃を受け続け、それを跳ね除けてきた優雅にして鉄壁の城塞。

その要であるイルフィア騎士団を目指す者には、年に一度その門が開かれる。

「なあダグナ、あの子は?」

「共同住居から一人孤児が来てると聞いた。おそらくあの少女のことだろう。」

「誰も見ないのか?」

「孤児となるとな…。導く自信がある者はそうそうおるまい。」

「どいつもこいつも才能のある奴しか見たくないわけだ。」

「ゆえにあの少女はああなっているのだろうな。」

「確かに。納得した。……ま、むしろ都合いいな。」

「ん?…ミューズ、お前もしや。」

「よっ、キョロキョロしてる小っさいの。」

「!」

「名前は?」

「リリア!…です!」

「リリア、お前騎士になりたいんだよな。」

「は、はい!」

「なんでなりたいか、聞かせてもらえるか?」

「き、共同住居のみんなをお腹いっぱいにするためです!」