「ね、ねえ…レイズ、新歓ってどうする?」
「んーー、新歓かぁ。」
ウルア区特等学校・手芸部。レイズとコーリルが創立し、2年目に入ろうとしている小さな部活動。
2年生になるということは、後輩ができるということである。
学年を跨いだ関係を築くため。あるいは同じものを好む仲間を増やすため。
様々な理由から年の初めにはあらゆる生徒が自分達の部活動を新入生にアピールする。
「私が有名人なの、困るよな…。」
ただ、レイズはその新歓という行事に対して消極的だった。
理由は言うまでもない。ミレティクス家の名声は時に、その場その場の趣旨に反する者を呼び寄せてしまうからである。
自分で言うようなことでないのは承知だったが、無視できることでもなかった。
「や、やっぱりレイズもそう思う?」
恐る恐る、しかしどこか安堵した様子でコーリルが同意を示す。
そう、安堵。レイズが新歓活動に消極的であることに対しての安堵である。