「先生、痛いところとか無いですか?」

「うん。大丈夫。」

黒曜同盟本部、古代兵器研究課の一室。

格子の付いた窓から吹き込む風に髪を靡かせながら、カラナ・ミレティクスは工具を走らせていた。

「すごいね。見た目の割に重くないよ。」

この日の目的はリリアの義足の試運転。

リリア、製作者であるカラナ、立会人であるエティアール、加えて研究課の何名かが見守る中、義足の装着が完了した。

「見事だわ。機甲軍兵の残骸からここまでのものが作れるなんて。」

エティアールが思わず感心の声を漏らす。

見た目こそ金属質だが、人の脚と遜色ないシルエットの義足は、芸術作品だと言われれば信じてしまいそうなほど緻密に作り込まれていた。

神経の伝達無しに、リリアの僅かな身動きにも呼応してクランクやソケットがフレームの中で角度を微調整している。

「本当にすごいよ。まるで生きてるみたい。」

「はい。正常に動いてるみたいですね。」